2012年9月14日金曜日

心が救われた一言

高校生の時文化祭の出し物をやっていた時の事です。


その団体は有志で集まってたので学年もバラバラの人たちが集まってました。

団体の中心人物たちはみんな私の1こ下の後輩たち。幹事もキャストもとってもいい後輩たちばかりでした。みんなとっても熱心でしたし。

ある日、そんな幹事の子の相談にのってあげていました。

「みんな自分で考えて動いてくれない!やるべきことはたくさんあるのに・・」って事だったんですが、
私はちょうどその時、クラスの出し物で幹事をやっていました。


その相談を受けるちょっと前のある日クラスの出し物の会議で、私ともう一人の幹事の子が教壇に立って色々説明してたんですね。
衣裳さんはこれをこうして、大道具さんはこれで、キャストさんはこの時間で練習とか・・・
そして最後に「それぞれの作業が終わったら幹事に確認を取ってください。」みたいな事を言ったら、

聞いていた子の一人が
「それっていちいち幹事に確認をとらなきゃ、なにもできないってことですか???!そんなのおかしい!」
って言ったんです。

幹事の私たちはすべてを把握していたかったし、勝手に別なことをされて演出や設定が変わってしまうと大人数での出し物の場合修正がききにくかったので、そう言ったつもりだったのですが、クラスの人たちは「幹事がすべて牛耳ってて、了解ができなければなにもできない」と感じてしまったようで。

「全てを把握するのがわたしたち幹事の仕事なので」

とは言いましたが、もう一人の幹事の子は悔しさに耐えられず、その場でうずくまって泣き出してしまいました。ひっそりと泣きながら「こんなに一生懸命やってみんなが作業しやすいように指示をだしているのに、どうしてわかってくれないの?」と悔しがっていました。

私はもうひとりの幹事が泣き出してしまい、どうしようもなかったので、

「そうですね、幹事同士で相談して今後の方針を見直します。ただ、幹事は全てを管理をする必要があることも知っておいてください」みたいなことを言って会議は中止になりました。

今思えばどちらも正当な意見ですね。
管理職の幹事はすべてを把握して、限られた予算や30人ものクラスのスケジュールの管理はとても大変です。予算からはみ出ないように・・・指示が出されないと動かない人がいないように・・・と頑張っていたのに。正直、どのクラスにも指示待ち人間って多いですよね。指示がなければ何をどうしていいかわからないとの声があったので、それを反映した形にしたのですが、クラスの人たちは信用して任せてほしい!幹事の駒にはなりたくない!そう思ってたんだと思います。



そんなことがあったので、後輩から相談を受けた時に

「全ての人が幹事のように全体を見ているわけではない。だから指示待ち人間には、幹事の様な全体が見える人が指示をだして全体をみせてあげなくちゃ。」

みたいな事を言ったんです。

そしたらその後輩が急に泣き出して

「じゃあ、みんなにはいちいち私が指示をしなくちゃ、なにもできないの?!」

と走ってどっかに行ってしまいました。まるで映画のヒロインのように泣きながら去って行ってしまいました。

私は唖然として、ショックでした。結局また同じことを言われたのもショックでしたし、そんなにきつい事を言ったわけでもない、私もクラスの幹事という立場を分かっているつもりでしたが、彼女はきっといっぱいいっぱいだったんでしょうね、逆に更に追い詰めてしまったんだと思います。


帰りにその団体の幹事と主要キャスト(私を含む)で簡単に反省会をしました。

その子は相談したときの事を思い出したのか、すすり泣きながら

「今日はとても大変だった。一生懸命やってるのに、みんな指示待ち人間だし、いちいち指示なんか出したくない。でも先輩(私)に相談したら違うって言われるし・・・」

とまた泣きだしてしまいました。幹事みんながその子を慰めるのを見て、私はひどい罪悪感と「私は何を間違えたんだろう?」という疑問を抱えました。

結局もうすこし幹事で方針を見直そうみたいな感じになって解散になりました。

帰るときに主要キャストの中にもう一人私と同じ学年の男の子がいました。イケメンで(←関係ないけど)とても優しくて、本当にいい人なので、「あの子泣いてたけど、実は今日、こんなことが・・」と起きたことを説明しました。

泣かせてしまったことは悪いと思ったけど、私の言ったことは間違っていたんだろうか?
彼女を思って言った言葉がこんなに彼女を傷つけるなんて、私は何を間違えたんだろうか?

その子はただ「うんうん」と話を聞いてくれていましたが、
最後に「私、あの子をとっても傷つけて泣かせてしまった。先輩としてだめだよね。とても信頼してくれていたのに。」と言ったら、

彼が

「でもね、泣いてる人がいつも正しいってわけじゃないから。」

って言ったんです。


私は絶句しました。思わず彼の顔を凝視してしまいました。私はさぞかし間抜け面だっただろうと思います。
なんてすごいんだこの人!と思ったのと同時に救われたとも思いました。


人という生き物は感情があって、泣いているひとがいたら、同情するし、その人が正しいというような風に思えてしまいます。涙(特に女の涙)には特別の力がありますよね。
複数人の幹事の前で涙を見せた彼女はとっても悔しかったんでしょう。が、同時にある意味でみんなの同情を買いました。それは彼女が意図していなかったとしても、起きました。そして、私は悪者みたいになりました。これも彼女が意図しなかったとしてもです。

そんなときにこっそりと私にだけ「泣いてる人が正論とは限らない」と言ってくれて、
心底ほっとしました。大きくて本当にありがたい言葉です。

誰だって、人を泣かせたくなくても泣かせてしまう時があります。
自分はなんて事をしたんだって思う時もあります。
もちろん傷つけたかったわけでもない。そして傍から見れば私は悪者になるのです。
自分を正当化してるわけではないけど、物事は理不尽な方向に転ぶことはたくさんあります。

でもそんなときに、彼の「泣いてる人がいつも正しい訳ではない」という言葉に救われています。罪悪感を背負いすぎてしまう私にはとても救いになる言葉でした。

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